大リーグ中継が楽しい。大谷翔平だ。この感じはイチローがマリナーズでバリバリやっていた頃以来だろうか。日本時間20日の試合でちょっと面白い光景があった。大谷が投手から右翼手へ交代する際のこと。通訳から外野手用グラブを受け取った後、何かが足りない様子で声を掛けていた。
正式に何と言うか知らないが欲しがっていたのは“チャート”だろう。対戦相手の打者それぞれが持つ打球方向などを記したものだ。大谷は最終的に中堅手からもらっていた。
大リーグでは三塁手が二塁ベースの右に来るなどの極端なシフトを取ったりする。日本でも昨年、阪神に在籍したボーアが打席に入ると内野手が右寄りになるシフトを取ったチームもあった。もちろんデータに基づく結果だ。
「あれなら普通に動ける選手なら誰でもいいってことになる。守備のうまい下手とかの意味はあまりなくなりますからね。野球が面白くないんじゃないかな」
過去にイチローからはそう聞いたことがある。内野のシフトはもちろん、この日、大谷が気にしたように外野手の守備位置まで指示が出る。名手イチローにすれば面白くない要素ととらえていたようだ。
それでも一般的にはやはり有効なのだろう。グラウンドでの戦力に劣るチームでもデータをしっかり活用すればそれなりの戦いができるのかもしれない。いずれにしても日米を通じて現在の野球ではデータを重要視する。
首位を走る阪神の話だ。強い背景には指揮官・矢野燿大の下で一体感を出す選手の働きはもちろん、裏方であるスコアラーの貢献も大きいと思っている。矢野の采配を見ていると敵の動きを予測できているように映ることも多い。
巨人担当・嶋田宗彦、ヤクルト担当・古里泰隆、広島担当・御子柴進、中日担当・飯田正男、DeNA担当・太田貴。5人のスコアラーが報告するデータの裏付けがあるのだろう。
来週から始まる交流戦はリーグ戦以上にデータ勝負という。対戦数が少ない中、傾向を見極めるのは難しい。阪神ではこの5人が手分けし、パ各球団の分析を進めている。それを駆使し、どう戦うか。逆にパ6球団は当然、佐藤輝明をマークしてくる。イチローばりに並みではないところを発揮し、それを突破するか。両方の意味でこの3週間は楽しみだ。(敬称略)
【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




