楽しそうというかイキイキしているというか。打席に入る姿から、いま、そういうものを感じるのは森下翔太だ。この日も1回に先制適時打、これで10試合連続打点をマーク。まさに絶好調と言えるだろう。
この日まで3連戦を戦った横浜スタジアムで、その森下について感想を聞いた人物がいる。石井琢朗だ。DeNAのチーフ打撃兼走塁兼一塁ベースコーチという長い役職。6月に甲子園で予定されていたDeNA戦が雨天中止になった際、指揮官・岡田彰布が過去に見てきた好打者の1人として石井の名前を挙げたことはこの欄で書いた。
「森下ねえ。(他球団の選手を)どうこう言っている場合ではないんですけどね…」。DeNAは苦戦が続くチーム状況。それでもこんな話をした。「明らかに打撃が変わっていますね。前に見たときはしゃくり上げるというか、そんな感じだった。いまはレベルスイングになっています」。
「前に見たとき」というのは、まさに森下のファーム行きが決まった頃だ。7月5日のDeNA戦(甲子園)で途中出場して三振した森下は翌6日に1軍出場選手登録を抹消されている。
「最近はいろいろな理論を言う人がいるようですけど。プロの160キロのストレートなんてレベルスイングでないと、打つのは難しいですよ」。右の強打者をそろえるDeNAで打撃を指導する石井は、そう続けたのである。
その森下が戻って阪神は強くなった。1軍再登録の7月19日から、ここまで12試合で8連勝を含む9勝3敗だ。その間、森下は47打数18安打の打率3割8分3厘、3本塁打、15打点と打ちまくっている。ファームに行った頃の打率は2割3分2厘だったから、これは大変身だろう。
そして打撃不振に苦しんだ前半戦がウソのようにチームも打つようになっている。これにも森下の復活が影響していると思う。打てる森下が戻ったことで佐藤輝明、大山悠輔と打線に厚みが出てきた。
いい打者が減れば減るほど残った打者に対して相手バッテリーのマークがきつくなるのは当然。反対に打つ選手が増えれば増えるほど、みんな楽になるとは昔から言うことだ。
とはいえ、終盤、走者を出しながら得点できなかったのはこの日の反省点だろう。広島、そして巨人を追う立場。厳しい戦いの日々は続くのである。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




