今季106試合目、64勝目にして阪神には初の出来事があった。クリーンアップが3人とも無安打で勝利したのはこれが初めてだ。試合前までクリーンアップ全員無安打は4試合。ざっとこういう感じだ。
<1>3月30日・広島戦 0-2(マツダスタジアム)
<2>5月15日・DeNA戦 0-1(横浜)
<3>6月17日・ロッテ戦(甲子園) 1-3
<4>7月16日・中日戦(同) 0-6
スコアで分かる通り、全4敗だった。<1>は3番・佐藤輝明から森下翔太、大山悠輔の並び。<2>、<3>、<4>は森下から佐藤輝、大山とモデルチェンジを挟んだが、いずれにしてもこの4試合はクリーンアップが無安打で全敗している。
しかし、この日は勝った。主軸3人が打たなくても大丈夫! と言えるほど他の打者が打った結果なら胸を張れるところだが、そういう内容ではない。3回の2得点は相手ミスに乗じたものだ。内野の2失策と先発・大瀬良大地の暴投。この時点で阪神打線は無安打だったので珍しい“ノーヒットツーラン”だ。
結局、阪神打線が放った安打は2本だけで広島の5安打に負けた。「ピースナイター」で力投した大瀬良が気の毒になる試合だった気もする。それでも冷静になれば、ある意味、阪神が他球団に誇る典型的な試合だったのかもしれない。
投手陣の踏ん張りと守備が光ったのだ。先発・高橋遥人は抜群の内容。少ない球数で相手を切っていく。これは“ノーノー”か? と多くの虎党が思っただろう6回に初安打を許したものの、7回4安打無失点は立派である。
そこへ及川雅貴、そして39試合連続無失点のプロ野球記録に並んだ石井大智の力投が続いた。さらに6回は“守り”だ。高橋が初めて安打された佐々木泰が二走だった2死二塁。ここで中村奨成の左前打を左翼・高寺望夢、遊撃・小幡竜平から捕手・坂本誠志郎のカットプレーで刺す。「投手を中心とした守りの野球」を実感させる場面だった。
「本当に誇らしいですけど、まだ戦っている途中ですからね」。自身も投手として現役時代を過ごした指揮官・藤川球児はうれしさを押し隠し、そう話した。その通り、まだ戦っている途中だ。前日12日は休養目的で佐藤輝を休ませて敗戦。2試合ぶりに戻したクリーンアップが無安打の事実もある。最後まで油断はできない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




