全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)茨城大会で、センバツ8強で優勝候補筆頭の常総学院(茨城)が「神風」を味方にして、辛くも3回戦を突破した。同点の8回、延長12回2死満塁のピンチで、本塁打性の打球が逆風で押し戻された。

 まさに常総学院には「神風」が吹いた。2-2の8回。高校通算30本塁打を誇る取手松陽・川村文耶内野手(3年)の「(スタンドへ)いったと思った」という打球は、右翼へ本塁打性の当たりだった。だが、この日、球場がある土浦地方は約4メートルの風。逆風に押し戻され、右飛となった。延長12回の2死満塁のピンチでは、再び川村の「完璧な当たりだった」打球も逆風に押し流され、フェンス1メートル前で大失速し、中堅手のグラブに収まった。

 「運」を味方にした常総学院は直後の攻撃で、2本の安打と四球でつくった無死満塁のチャンスで、6番皆神裕平内野手(3年)がサヨナラ犠飛を放った。皆神は「(相手打球に)最初はビクッとしたけど、外野が追いつけると思った。最後の打席は、ストライクはどんどん振っていこうと思っていた。とにかく勝って良かった」と、安堵(あんど)の表情を見せた。

 2年生エースの鈴木昭汰は12回、176球の完投勝利だったが、「(風で)入らないとは思ったけど。序盤に先制点を取ってもらってスキができた。とにかく序盤です。もう1度(序盤の入りを)考え直さなければいけない」と2季連続の甲子園出場へ反省しきりだった。

 薄氷を踏む勝利に、佐々木力監督(49)は「内村君はプロ注目の投手だけあって、手元で伸びるストレートと腕の振りが変わらないフォークに苦戦した」と苦笑いして振り返った。「打線についても考える」と打順変更も示唆した。昨秋、今春の県大会連続優勝と県内では無敵のチームが、16度目の甲子園へ、苦しみながらも難敵を退けた。【倉田祥太】