【2015白球メモリー:水沢第一・蔦郁弥投手(3年)】

 「やまびこ打線」で知られる池田(徳島)の故蔦文也元監督と同じ読みの名を持つ。縁のある甲子園には届かなかったが「楽しかった。悔いはないです」とすがすがしい表情で、球場を去った。

 1-3と2点を追う5回から登板。その回はゼロで抑えたが、6、7、8回と点を失い、引き離された。7回に打たれた2本のホームランは自信を持って投げたスライダーと直球を捉えられた。「2球ともいいボールだった。あっちの勝ちだと思った」。2本目を打たれると、マウンドで思わず笑った。

 学校では、調理科で料理を学ぶ。野球と料理はどこか似ているところがあった。「基本が大事。キャッチボールやトスバッティングは、皮むきと一緒です」。1球1球「いかにバランス良く投げるか」。食事を作るように心を込めて投げた4回6安打無四球5失点は満足の内容だった。来月には、フルコースを献立から考え、1人で作り上げる調理技術検定1級の戦いが待っている。【高場泉穂】