霞ケ浦が日立一を下し、夏の甲子園初出場を決めた。先発の安高颯希(さつき)投手(3年)が6回を1安打無失点。7回から救援したエース綾部翔(かける)投手(3年)が3回を無安打に抑え、完封リレーで飾った。90年にセンバツ出場があるが、夏は過去5度決勝に進み、すべて敗退。3年連続6度目で、ついに悲願を達成した。

 霞ケ浦が、「6度目の挑戦」でついに悲願の代表の座を手にした。スタンドには850人の応援団。卒業生含め学校関係者の夢を乗せ、まず打線が主導権を握った。1回、1死一、三塁のチャンス。4番清水達希外野手(3年)が、一塁側へセーフティースクイズを決めた。続く根本将汰内野手(2年)の左越え適時二塁打で2点を先制した。

 公式戦では1度もなかったというスクイズに、高橋祐二監督(55)は「先制点が絶対に欲しかった」と振り返った。90年にセンバツ出場経験があるが、夏は県大会決勝で5度敗退。しかも、ここ2年連続で敗れていた。01年に就任した高橋監督の「今年こそは!」の思いは、選手もスタンドも同じだった。

 そんな「執念」を見せたのが、先発の安高とリリーフで登板した綾部だ。先発した安高は、わずか1安打で無失点。綾部は3イニングを無安打でピシャリ抑えた。安高は「後ろにエースが控えていたので、思いっきり投げることができた。本当にうれしい」と顔をくしゃくしゃにした。

 試合前、1本のビデオを見て士気を高めた。高橋監督と親交があるハンドボールの名門、藤代紫水・滝川一徳監督からアドバイスを受けて、つくった。過去の敗戦シーンなどを編集したもので、綾部は「同じことは繰り返さない。絶対にやってやるという気持ちになった」と、効果は抜群だった。

 試合後、応援団から「ありがとう!」の声援と拍手が送られた。スタンドへ一礼した高橋監督は「恩返しは、甲子園で校歌を歌うこと。1勝はしたい」と意気込んだ。ナインも「茨城県の代表として、恥ずかしくない試合をしたい」と新たな目標に掲げた。【倉田祥太】

 ◆霞ケ浦 1946年(昭21)創立の私学。普通科のみで生徒数は1085人(女子は479人)。野球部創部は46年。部員数80人。甲子園は春1度出場。主なOBは元オリックス上野忠、レスリング・アトランタ五輪銅メダリストの太田拓弥。所在地は茨城県稲敷郡阿見町青宿50。久保庭裕一校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦7-0麻生

3回戦9-0境

4回戦10-1水海道一

準々決勝2-1石岡一

準決勝5-4明秀学園日立

決勝2-0日立一