2年ぶり4度目の優勝へ、北照が本塁打3発のアーチ攻勢で、今春センバツ準優勝の東海大四に競り勝った。4番佐々木斗夢(とむ)三塁手(3年)が、1-0の4回先頭からと5-4の7回2死から、ともにソロ弾。主将の2発で勢いづいたチームは難敵を振り切った。

 「(大沢投手は)全国準優勝投手ですから。ホームランはたまたまです、たまたまです」。北照の2発男は、お立ち台で控えめなコメントを繰り返した。4回は真ん中高めの直球をバックスクリーンに、7回は2死走者なしから内角直球を左翼席へ。2本とも、リードが最少1点となった場面だけに、価値がある。1試合2本塁打は初めてだったが、決勝戦が翌日に控えている。喜びは、ぐっと我慢した。

 春の全道1回戦で東海大四と対戦した際は、6回から救援した大沢に無安打に封じられ、無得点。大沢の投球の7割は直球というデータから、佐々木は狙い球を決めていた。さらに今夏1回戦で攻略した札幌日大・山本龍之介(3年)と同様、ノーステップで打つ速球派対策が功を奏した。

 先制し、常にリードしたが楽な試合ではなかった。1回表、先発した川端が3四球で1死満塁のピンチは、すかさず佐々木が駆け寄った。「おい、一緒に深呼吸しようや」。2人で中堅の方を向き、息を大きく吸った。後続を二塁併殺に仕留めた。佐々木はいう。「顔がひきつっていたんですよ」。昨秋から主将を務め、仲間の表情を見て取り、場の雰囲気を感じることに長けている。

 札幌新琴似中時代は軟式野球部に所属していた。たまたま竹内昭文監督(64)が観戦した試合で「チームを引っ張ってるという気迫が、守っている三塁に満ちていた」と感心。「入部してきたら主将を任せたいと思っていた」という。2年ぶり4度目の甲子園にあと1勝。佐々木は「どっしりとした監督を、甲子園に連れて行きたい」と恩返しを誓った。【中尾猛】