全国高校野球選手権新潟県大会が7月8日、開幕する。日刊スポーツ新潟版では「新潟のピカイチ君」と題して、県内の注目選手を紹介する。第1回は村上桜ケ丘の4番、西野護三塁手(3年)。左膝靱帯(じんたい)断裂から復帰し、最後の夏にすべてを出し切る。

 思いの強さはストレートな表現ににじみ出る。「気合が入っています」。夏の大会へ、西野は人一倍の集中力で臨む。

 18日、チームの専用グラウンドで行われた酒田南(山形)との練習試合では、左中間に3ランを放った。高校通算5本目の本塁打は「手応えがあった」と勢いにつながる。松田忍監督(66)からは「逆方向でも、引っ張る形でも自分らしく長打を狙え」とアドバイスされた。練習試合では長打を警戒して外角中心の攻め方をする相手投手が増えてきた。「だからどの方向にも強い打球を打てるように意識している」(西野)。夏に向けて、イメージはできた。

 昨夏の準々決勝小出戦で、左膝靱帯を断裂。全治7~8カ月と診断された。準優勝だった昨秋の県大会はスタンドで観戦。戦列に復帰して臨んだ春季県大会は、初戦の2回戦で開志学園に3-4で敗れた。西野はこの試合、右前打1本の3打数1安打。「まだ力を出していない」と不完全燃焼の状態が続く。

 もっとも、ケガをしている間に行ったトレーニングの成果も感じている。冬場はスクワット500回を毎日行った。体幹強化も欠かさなかった。「しっかりと腰を据えて振れるようになった」。酒田南戦の3ランはその象徴だった。

 松田監督は「守備のときに、投手に積極的に声をかけるようになった。打撃だけでなく、試合の中で自分がしなければならないことを分かってきた」と成長を認める。1年の夏から4番を務めてきた。「このチームで甲子園に行きたい」。主砲として歩んできた3年間の集大成。目指すものは1つしかない。【斎藤慎一郎】

 ◆西野護(にしの・まもる)1998年(平10)11月20日、新発田市生まれ。本田小2年から野球を始める。豊浦中では三塁手、遊撃手、投手。村上桜ケ丘に入学し、1年の夏から4番を打つ。好きなプロ野球選手は日本ハム中田翔。180センチ、80キロ。右投げ右打ち。血液型A。