天国の達仁とともに-。今は亡き仲間のユニホームをベンチに飾り、初戦を戦った築館ナインは最後まで全力で勝利を目指したが、あと1歩届かなかった。

 エース左腕の佐々木琉(りゅう・3年)が先発し、118球を投げ3安打8奪三振と力投したものの、ミスから1点を献上。4番の佐藤永人(ながと・3年)が2安打を放つなどしたが、1点差で敗れた。

 14年11月に当時1年生二塁手だった菅原達仁さんを交通事故で失ってから約2年。生きていれば今年3年生。最後の夏を迎えた同級生たちは「あいつのために戦う」と心をひとつにして挑んでいた。11日の開会式では、宮城大会で初めて、ユニホームを額に入れて持ち“一緒に”行進もした。今日の初戦も。グラウンドに姿はなくても、ベンチを見れば見てくれている気がした。

 試合後、佐々木琉は「俺が抑えてやろうという気持ちでしたが勝たせられなかったことが悔しい。達仁は明るい性格も含めて本当に上手かったし重要な選手だった。今日、マウンドで点を取られた後、ベンチのユニホームを見て立て直しました。勝てなかったけれど。野球は今日でおしまいです。でも3年間、たくさんのことを勉強できてよかった。精いっぱいやりました」。

 築館ナインが涙に暮れているとき、空からは雨が降り始めた。