第64回春季高校野球東北大会組み合わせ抽選会(8日開幕、宮城・石巻市民球場ほか)が1日、仙台市内で行われた。高校通算46本塁打を誇る園部佳太主将(3年、内野手)を擁するいわき光洋(福島)は久慈(岩手)と激突する。今春わずか3カ月で20発を量産し急成長を遂げたフルスイング男が、暴れ回る。

 視線の先には絶対王者の名前があった。園部は5番のくじを引くと、無意識に聖光学院の位置を確認した。「聖光ともう1回やりたい。明らかに差があった。夏までに投打を改善していかないと」。今春の福島大会決勝では「3番遊撃」で先発し王者相手に4打数2安打1本塁打3打点と気を吐いたが、3-18と大敗。お互い順当に勝ち上がり、決勝でリベンジを実現させる。

 今春に急成長を遂げた。冬の期間は「振る力をつけたい」と納得いくまでバットを振り込み、多いときは1日で1000回もの素振りをした。「詰まった打球を両手で押し込めるようになった」と手応えをつかんで迎えた3月8日の練習試合解禁日から、わずか3カ月間で公式戦の4本を含む20発を積み上げた。早実清宮は同期間で17本塁打で、怪物を上回るペースでアーチを量産している。

 飛躍的に飛距離を伸ばした理由は、驚異的なスイングスピードにあった。冬の振り込みの成果もあり、3月の計測時には従来の138キロから147キロまで上昇。高校生平均が120キロ台の中、130キロ以上は高レベルと言われる。渡辺純監督(35)は「高校生でこの数字は今まで見たことない」と舌を巻く。同じ右打ちのヤクルト山田が高校(履正社)時代に計測した154キロに迫る数値だ。

 「目標は60本なんで」と豪快に宣言する大砲にとって、現在の46本は通過点にすぎない。「聖光を倒して、甲子園に出ないと憧れのプロにはなれない」。園部のバットには夢が詰まっている。【高橋洋平】

 ◆園部佳太(そのべ・けいた)1999年(平11)8月24日、福島・いわき市生まれ。豊間小1年からソフトボールを始め、豊間中では軟式野球部に所属。いわき光洋では1年秋からベンチ入り。177センチ、78キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄。