完全復活を予感させる快投だった。青藍泰斗(栃木)の最速149キロ右腕、石川翔投手(3年)が、24日、取手松陽(茨城)との練習試合に先発し、5回を2安打無失点に抑えた。エースの好投もあり、チームは7-2で勝利した。

 9球団17人のスカウトが集まる中、堂々の投球を見せた。石川は「出来は60%くらいだけど、力まずに投げられました」。相手打線は最速145キロで伸びのある直球を、バットに当てるだけで精いっぱいだった。縦と横のスライダーも効果的に使った。毎回の6奪三振を奪い、三塁を踏ませなかった。

 この日は3週間ぶりの登板だった。4月の春大会は股関節の疲労で登板できず、チームは県大会初戦で敗れた。その後復帰するも、今度は右肩に違和感が出た。2年秋にも右肩を負傷しており、マウンドに上がれない期間は長かった。それでも「良い経験だと思って、ケガを前向きに考えました」と話す。2キロの重りを使い、1日200回指先を鍛えた。毎日10本の坂道ダッシュやタイヤ引きも、自ら進んで取り組んだ。復帰を目指すだけでなく、進化を追い求めた。

 夏の栃木大会では、7月10日に那須清峰との初戦を迎える。石川は「もうケガの心配はない。万全の状態で夏を迎えるだけ」と意気込む。頼もしいエースが帰ってきた。【太田皐介】