九州北部豪雨で甚大な被害を受けた福岡・朝倉市杷木(はき)にある朝倉光陽は、0-24の5回コールドで朝倉との地元対決に敗れた。4回155球を投げ抜いた阪神梅野隆太郎捕手(26)のいとこ、養父(ようふ)聖也投手(2年)ら全ナインは、ゲームセットの瞬間まで全力プレーした。

 養父は16安打を浴び24失点した。打たれても161センチの小柄な体をしならせ力を尽くした。母の茜さんは「被災地に届ける思いで一生懸命だったのかもしれない」と感極まった。

 茜さんの職場同僚女性の自宅が豪雨で流され、いまだ行方不明。養父は顔見知りの事故をニュースで知り「おばちゃんはもうおらんとね…」とショックを受けた。自身も一時祖母宅に避難したが、弟の一希くん(11)から「頑張って抑えて」と声をかけられ、応える一心で投げ抜いた。思いのすべてを込めた155球だった。【菊川光一】