柏崎工が延長12回、劇的なサヨナラで糸魚川白嶺に4-3で勝った。3-3の延長12回1死一、二塁。主将の室屋元希遊撃手(3年)が左越えサヨナラ打を放ち、二塁走者の橋爪純平二塁手(3年)が本塁にかえってきた。

 二塁から本塁へ、橋爪は頭から突っ込んできた。本塁上で大きな土煙が上がる。両手を広げて立ち上がり、三塁側ベンチを向くと仲間たちが小躍りしながら飛び出してきた。本塁への生還は「疲れが消えるほどの喜びだった」。2時間56分の激闘は、ドラマチックなサヨナラ勝ちで決まった。

 1-3の9回に同点に追いつき、そして迎えた延長12回1死一、二塁。長いゲームを勝利で締めくくったのは主将・室屋のバットだった。糸魚川白嶺のエース穂苅海斗(3年)が投じた188球目のスライダーを逆らわずに打ち返した。飛んだ打球は左翼手を越える。「絶対、決めてやろうと思った」。

 というのは、延長10回のサヨナラのチャンスを生かせなかったからだった。3-3の1死三塁の場面では一ゴロに仕留められていた。「10回は変化球を引っかけてしまった。だから、最後の打席も、狙い球を変化球に絞った」。描いた通りの打撃でゲームに終止符を打った。

 延長12回に先頭で中前打を放ち、本塁にかえった橋爪も最後に汚名を返上した1人だった。9回に3-3に追いついてなお2死二、三塁のシーン。絶好のサヨナラ機会に、二ゴロで終わっていた。「サヨナラの場面をつぶしていた。だから、気合が入っていた」。名誉挽回に燃える選手たちが最後の打撃で勝利の立役者になった。昨秋の2回戦で関根学園に延長13回、6-7で敗れた苦い経験も生きた。主将の室屋は「最後まで気持ちを切らせない」と、教訓を明かした。4回戦の相手・中越は山本和良監督(55)が「100回対戦して1回しか勝てない」と言う強敵だが、柏崎工ナインは最後まで集中を途切らせない。【涌井幹雄】