第1シードの東海大静岡翔洋が、逆転サヨナラ勝ちで4回戦進出を決めた。浜松学院戦で2点をリードされた9回裏、連続死球から追いつき、森千明内野手(3年)の一打で競り勝った。元巨人の原俊介監督(39)が率いて2度目の夏。甲子園出場を目指し、22日の4回戦では昨夏王者の常葉大菊川と対する。

 主将の森が試合を決めた。2-2の9回裏2死三塁。初球、真ん中のカーブを振り抜き、三遊間を抜いた。三塁走者が生還。雄たけびを上げ、右拳を突き上げた森は、一塁ベースを踏んで仲間たちと抱き合った。

 「(ベンチで)『低いゴロを打とう』と話していて、そのお手本になろうと意識していました。打てて本当にうれしいです」

 4回までは1安打に抑えられたが、5回以降は6安打を放った。走者は7回を除いて毎回出ていた。だが、好機には力んでフライを打ち上げていた。選手たちは危機感から「低い打球を打とう」と声を掛け合った。そして、がけっぷちの9回裏も高い集中力を発揮し、連続死球、犠打、左前打、二塁への進塁打で瞬く間に同点。森のサヨナラ打へとつなげ、原俊介監督に「自分の采配ミスもあったけど、選手が頑張ってくれました。最後は心が震えました」と言わしめた。

 春季東海大会が教訓になった。静岡王者として臨んだ大会だったが、1回戦で東邦(愛知2位)に7回コールド負け(0-8)した。試合中、選手間で相手を分析する力がなく、攻略の糸口をつかめなかった。その後、実戦練習から選手間で盛んに話し合い、狙い球を絞るなど攻め方を決めるようになった。この日も「低めの変化球には手を出さない」と意思統一していたといい、森は「ずっと原先生に頼り切っていましたが、今は自分たちで工夫できるようになりました」と胸を張った。

 4回戦の相手は常葉大菊川だ。昨年は準々決勝で対し、2-5で敗れた。今年も会場は同じ清水庵原球場。森は「中1日で攻守の確認をして、リベンジをします」と言葉に力を込めた。原監督と甲子園に行くために、絶対に負けられない戦いになる。【大野祥一】