先発で今大会初登場。立ち上がりから制球に苦しんだ。自慢の速球が高めに抜けて2回には4四死球を与え、無安打で先制点を献上した。4回まで球数は72球。独り相撲で毎回走者を二塁に背負い、東北ナンバーワンの肩書がかすむほどの内容。長谷川菊雄監督(40)が「言われている怪物とかではなかった。普通の高校生投手以下でした」と表現するほど別人だった。

 5回のマウンドへ向かう直前、その長谷川監督の一喝で目を覚ました。「いつまで1人でバタバタやっているんだ。1球1球に魂をこめて、みんなの思いを背負って投げてみろ」と送り出されると見違えるように立ち直った。5回2死からは148キロ、6回2死からこの日最速の151キロの直球で三振を奪うなど一気にギアチェンジし、序盤のドタバタ劇を帳消しにした。

 長谷川監督は「全校応援もあったし初出場だったので緊張したのでしょう。うまくギアを上げてくれた。大逆転で接戦をものにできたことは10勝の価値がある。成長を感じた」とたたえた。古屋敷は「緊張して本調子を出せなかったけど仲間が声をかけてくれ守備で盛り上げてくれて感謝したい。1戦1戦勝ち上がって甲子園へ行けるように頑張りたい」。目を覚ました怪物がいよいよ本領を発揮する。【下田雄一】