金光大阪が、わずか体重51キロの背番号11右腕、河合幸輝投手(2年)の快投で大阪大会4回戦進出を決めた。関大北陽を9回6安打2失点に封じたこの日が、自身初の完投。30度を超える炎天下でも、細身の体をしならせて最後まで投げ抜いた。春夏連覇を目指す大阪桐蔭はエース徳山壮磨投手(3年)が公式戦最多の14三振を奪う快投を見せ、3回戦を突破した。

 河合の高校球児らしく日焼けした腕は、ナインの中で最も細い。縦じまのユニホームも河合の体には大きく、マウンドの上ではひときわ頼りなさげ。だが、その細長い腕を思い切り振って、凡打の山を築いた。推定130キロ台の直球とスライダーなどの変化球を外角に集め、9回117球を投げて6安打2失点。「終盤は少しバテた」と話したが、自身初の完投試合を堂々と勝利で飾った。横井一裕監督(42)は「河合は体力がないから、6回くらいで代えようと思っていた。前半は曇りだったから、大丈夫だったのかな」と目を細めた。

 51キロの理由は太りにくい体質にある。入学当初は165センチ、49キロしかなく、横井監督も「本当に大丈夫か」と心配したほどだ。65キロを目標に、毎食どんぶり1杯分の白米を食べることに加え、冬季の練習直後には2合の白米を食べた。だが、1年間で身長は6センチ伸びたものの、17歳男性の平均体重より約8キロも軽い51キロ止まりだ。河合は「体重が増えない分をどうやってかばうか考えている」と苦笑する。パワーのなさをカバーしているのが、元三菱重工投手の祖父譲りのコントロール。投手を目指した小学4年から毎朝、元社会人・三菱重工の投手だった祖父との投げ込みで培った。

 次戦は24日の堺東との4回戦。横井監督が「安定して外のコースに投げられる」と太鼓判を押す制球力を武器に、準優勝だった昨夏超えを目指して突き進む。【中島万季】

 ◆河合幸輝(かわい・こうき)2000年(平12)5月17日生まれ、大阪府出身。千里丘小1年で「山田西リトルウルフ」で野球を始め、摂津第三中では「東淀川ボーイズ」に所属。金光大阪では1年秋からベンチ入り。171センチ、51キロ。右投げ右打ち。