東北は仙台三を8-1の8回コールドで圧倒し、2年連続の決勝進出を果たした。

 東北がついに秘策を出した。同点の7回1死三塁。4番布施東壱捕手(3年)が4球目をスイングすると同時に、三塁走者・野田陸翔内野手(3年)が走りだした。ヒットエンドランに近い大胆な戦法。「ゴロを転がすことを考えた」と布施。打球は前進守備の二遊間を抜けて中前への勝ち越し打となった。

 我妻敏監督(35)は「1点勝負だと思ったので、どうにかして1点を取りたかった」と説明した。秘策の裏には、東北福祉大の軟式野球部で13年に大学日本一になった鈴木雄太コーチ(25)の進言があった。無死または1死で走者が三塁にいる場合、点が入りづらい軟式では、ヒットエンドランで1点を取るのが主流だ。それを硬式に生かした。東北は練習試合で試し、今夏初めて勝負に出た。

 布施の3球目までは2ボール1ストライク。投手がボールを投げづらい状況のため、打者はバットに当てやすくなる。我妻監督は「足の速い選手がそろっているわけじゃないけど、走る感覚、判断力がいい」と走塁面も評価する。打者と走者の能力の高さがあるからこそ、なせる技。布施の一打後は4連打で4点を追加した。連覇へ王手をかけた、まさにターニングポイントだった。【久野朗】