聖光学院(福島)が、聖心ウルスラ学園との「聖なる同宿対決」を逆転勝ちした。ユニホームの胸文字は、漢字の横書きで「聖光」と「聖心」。色合いも似る。宿舎は同じ大阪市内のホテルで、12年前の05年も対戦こそなかったが同宿だった。

 密接な(?)間柄の両チームの試合運びが接戦になるのも必然なのか? 聖光学院は、3点差を3、4回に追いつき、5回に暴投で勝ち越した。8回は捕逸で追加点。最後は1点差に迫られた勝利を収めた斎藤智也監督(54)は「接戦は覚悟していた」と安堵(あんど)した。同宿対決については「うちとしても嫌。向こうとしても嫌。絶対に負けて帰りたくなかった」と本音が漏れた。

 10日に2回戦での対決が決まると、気まずさが漂った。食事や外出の際にエレベーターで一緒になった。2安打2打点の3番瀬川は「意識していた。組み合わせ抽選前は(相手選手と)話をしていたけど、抽選後は話さなくなった」。この日の朝の散歩は同じ時間帯。ホテルのロビーですれ違い、胸騒ぎが禁じ得ない。

 歳内(阪神)を擁した11年も、日南学園(宮崎)との同宿対決を制している。6年前は開幕日。今夏は2回戦決定から1週間近くあった。斎藤監督は「球場を一緒に出発して一緒に到着する。ホテルのみなさんが出迎える。大きな祝福とはいかない。今日は敗者をたたえるでしょう」と、複雑な思いを吐露した。【久野朗】