センバツへ収穫! 2年連続4度目出場の静岡(東海地区)が、3-5で明徳義塾(四国地区)に逆転負けした。2007年に優勝した常葉学園菊川(現常葉大菊川)以来の静岡県勢の決勝進出は果たせずも、全国屈指の強豪を7回までリード。出場確実の来春センバツへ向け、自信と課題を得た大会になった。

 1番村松開人内野手(2年)の大きな飛球が、相手中堅手のグラブに収まり、試合は終わった。大会初優勝の夢はついえたが、静岡ナインは前を見据えて整列し、一塁側応援席に深々と一礼。すがすがしい顔で、その場を引き揚げた。

 背番号10の鈴木翔也投手(2年)が、持ち味を発揮した。1回表に1死満塁とされたが、相手5番を投直併殺に仕留めてピンチを切り抜けると、3回、4回にも併殺を奪った。「今日はどんどん攻めていこうと内角を使っていきました。粘り強さは出せたと思います」。最速は135キロだが、90キロ台のスローカーブを軸に、変化球を低めに集めた。11被安打、8回途中に同点2点本塁打を浴びたが、強打の明徳義塾を相手に3失点で乗り切った。「明徳とやれたのはいい経験。センバツにもつなげていきたいです」。

 打線では、前日無安打の小林晃輝外野手(2年)が2安打2打点と気を吐いた。同じく前日無安打の斎藤来音外野手(1年)は、初回に三塁打を放って先制ホームを踏んだ。全国大会の準決勝。現チーム結成公式戦14戦目で初の黒星を喫したが、チーム全体でモットーの「元気」は貫けた。

 だが、負けたことで課題も見つかった。栗林俊輔監督(45)は「まだ全体的に打つ力、守る力をつけないといけない」と言った。一方で指揮官がテーマに掲げてきた「誰かがダメでも、他の選手がフォローできる状態」はできつつある。そして、全国上位の力は証明した。出場確実の来春センバツに向けて、小林は「もっと個々でレベルアップしていきたいです」。鈴木も「自分のいいところを出して、センバツでは1番をつけたいです」と話した。残り4カ月。この秋の経験を春に生かす。【鈴木正章】