横浜の及川雅貴投手(2年)が、自己最速を6キロ更新する149キロの速球を投げた。横浜創学館戦に2番手で登板し、2回1/3をパーフェクト投球。中学時代にU15日本代表に選ばれた左腕が成長した姿を見せた。横浜は9-0の7回コールドで快勝し8強入り。

 愛称「およよ」が大きくなって帰ってきた。9点をリードした5回、今大会初登板となる横浜・及川が第1球を投じた。今春新しく設置された球場のスピードガン表示に、いきなり147キロが記録されると会場がどよめいた。「そんなに出ているとは思っていませんでした」と自身も驚きの表情を見せた。

 先頭打者を高め144キロ直球で空振り三振に切ると、次打者には149キロを投じ二ゴロに仕留めた。最速を6キロも更新する成長ぶりで6回も3者凡退に抑えた。7回1死まで打者7人に対し無安打4三振無失点。振れていた横浜創学館打線を寄せ付けなかった。ソフトバンク荒金スカウトも「体も大きくなったし来年の有望株」と目を見張った。

 昨秋の神奈川大会準々決勝の鎌倉学園戦で先発した。初回に満塁本塁打を浴びるなど2回2/3で6失点。「自分のせいで負けた。冬は人一倍頑張らないといけないと思った」。チームが休みの日も金子雅部長がつきっきりでトレーニングに付き合ってくれた。下半身を鍛え制球に安定感が出た。昨夏甲子園出場時より体重は4キロアップ。及川は「まだ課題はあるけどコントロールにまとまりが出てきた」と成果を感じつつある。

 先発したエース板川佳矢投手(3年)、3番手の松本隆之介投手(1年)とともに「左腕3本柱」で快勝した。及川は「150キロを出したい気持ちはあるが、まずはコントロールが大事。ライバルがどんどん増えるのは自分もチームも成長できる」と言い切った。鳴り物入りで入学したスーパー中学生が着実な成長曲線を描き、夏の甲子園100回大会の主役を奪おうとしている。【和田美保】

 ◆及川雅貴(およかわ・まさき)2001年(平13)4月18日、千葉県生まれ。小学3年で野球を始め、13年千葉ロッテマリーンズジュニアに選出。八日市場二中では、匝瑳リトルシニアに所属。3年時にU15日本代表に選ばれた。横浜では1年春からベンチ入り。183センチ、74キロ。左投げ左打ち。