金足農が、今春センバツ出場の由利工に16-1と大勝し、19年ぶり5度目の優勝を決めた。4番も任された打川和輝投手(3年)が2試合連続となる先発マウンドで8回を投げ散発6安打1失点の好投を見せ、先発2枚看板に名乗りを上げた。

 夏本番を見据えた大一番で、打川がダブルエースの一角に名乗りを上げた。テンポよく低めに変化球を集め、3回をパーフェクトに抑えリズムをつくると凡打の山を築いた。抜群の制球力で四死球はゼロ、三塁を踏ませない投球だった。バットでも2打点を挙げ、4番の仕事を遂行した。

 打川 前日も先発したが立ち上がり先制を許してしまった。今日は真っすぐが走っていたのでストライク先行で緩急を付けて打たせて取る投球ができた。エースが投げないときは自分がしっかり抑えていきたい。

 打川の好投に打線も奮起。9回にマウンドを譲り受けたエース吉田輝星(3年)は「みんなで好投に報いてやりたかった」と、先発9人で19安打、16点を奪って援護した。8回には「後半に得点がなかったので、ダメを押して打川を援護したかった」と1番菅原天空内野手(3年)が公式戦初本塁打となるグランドスラムを放ち、最高の形で締めくくった。

 昨夏は決勝で明桜に敗れ、目前で甲子園出場を逃した。エース吉田への負担が大きかっただけに、打川の台頭により投手陣は大きな底上げとなる。中泉一豊監督(44)は「打川の先発は(夏へ向け)望んでいたこと。制球力があるし直球の威力が増してきた。緊張しないタイプだし、投げてくれると思っていた」と振り返った。「東北大会はこういう展開にならない。1点勝負の投げ合いでも力を発揮していきたい」と打川。雑草軍団と呼ばれるチームに、大きな収穫をもたらした。【下田雄一】