静岡商のエース古屋悠翔投手(3年)は、ライバル校のリードオフマン村松開人内野手(静岡3年)とのリベンジに燃えている。今年5月の定期戦では村松に先頭打者本塁打を食らった。しかし村松はその試合で大けがを負った。16日の練習試合で完全試合を達成し、波に乗る古屋は、宿敵の復活を願いながら、次こそは打ち取って、静商を甲子園に導く。また今日23日、静岡市内で運命の抽選会が行われる。

 グラウンドで借りを返す。5月13日、静岡との定期戦、最も警戒していた先頭打者の村松に、2球目の直球を左翼スタンドまで運ばれた。しかし4回、村松は二盗の際に左足を負傷してしまう。そのまま立ち上がれず、救急車で運ばれ、夏の出場が危ぶまれている。昨秋の直接対決でも3打数2安打されていた古屋は「チームの勝利が優先ですが、村松ともう1度対戦したい」と再戦を望んでいる。

 ライバル同士のすれ違いか、村松に被弾されて以降、古屋の調子は上がっている。16日、春季愛知県大会8強の豊橋中央との練習試合で、打者27人から自己最多の14三振を奪い、完全試合を達成した。最後の打者に投げ込んだ105球目は141キロの直球で空振り三振を奪った。

 以前は最速142キロの直球を軸に配球を組み立てていたが、豊橋中央戦は変化球主体で攻めた。定期戦での失敗、そして愛知県8強の実力を警戒し、組み立てを変更した。古屋は「この日は打たれる気がしませんでしたが、9回は意識して、夏大会のような緊張感でした。強いチーム相手に完全試合が出来て、大きな自信になった」と胸を張る。

 試合では村松は敵となるが、球場外では友人だ。無料通信アプリ「ライン」で連絡を取り合う。また、同じ接骨院に通い、顔を合わせれば野球談議に花が咲く。古屋は「村松のけがのことは聞いてないです。絶対に勝負したいので戻ってきてほしい」とエールを送り、「この仲間と甲子園に行くのが最大の願い。背番号1を背負ったら誰にもマウンドを譲らずに全試合抑えます」とノーシードから12年ぶりの頂点を目指す。

【大野祥一】

 ◆古屋悠翔(ふるや・ゆうと)2001年(平13)3月17日、伊豆の国市生まれ。小2から大仁パワーズで競技を始め、中学は大仁中。好物はクレープ。家族は母、妹。176センチ、83キロ。血液型O。