高校野球特集の第1回は、日刊スポーツ記者が全国の有望投手にスポットを当てる「ピカイチ投手編」。プロ複数球団が注目する小倉(北福岡)の最速147キロ右腕、河浦圭佑投手(3年)が、古豪復活に燃えている。がん闘病を続けながらスーパーバイザーとして母校の指導に心血を注ぐ元ヤクルト投手の安田猛氏(71)ら復活を願うOBの夢とともに最後の夏に挑む。

 河浦は大きな夢を抱く。名はW杯ロシア大会に出場の日本代表MF本田と同じ「圭佑」。河浦は「(男子テニスの)錦織圭さんのように『圭』がつく名前には有名なスポーツ選手が多く、自分もそれに乗っかり、プロの世界で有名になりたい」と口にした。

 小倉は1947年夏に九州勢初の全国制覇を果たした伝統校。春夏通算21度の甲子園出場を誇るが、今夏はノーシードから挑戦。第100回記念大会へ、河浦は「(V候補の)東筑や九州国際大付を倒して勝ち上がり優勝する使命がある」と熱い。牧村浩二監督(61)の信頼も「チームのエースで大黒柱」と絶大だ。

 野球の強豪私学進学ではなく、小倉を選んだ。霧丘中野球部で競い合ったプロ注目の甲斐生海内野手(3年)が九州国際大付に進学。今でも連絡を取りあう仲だが「公立校で倒したかった」。小倉の野球部員だった2歳上の兄正弥さんの影響もあり古豪復活の夢を追った。

 今春、福岡県で優勝しながら部内の不祥事で約1カ月の対外試合禁止となり九州大会出場を辞退した。その間、校内外の清掃など奉仕活動を行った。試練もあったが、がん闘病を続けながら指導してくれているプロ通算93勝の安田スーパーバイザーらOBの大きな期待もあり、河浦は「自分たちが甲子園に行くことが一番の恩返し」と意気込む。

 3月に行われた大分の私学強豪、柳ケ浦との練習試合で「人生初」という無安打無得点試合を記録した。5月に行われた南福岡のV候補、東福岡との練習試合では3回1安打6奪三振で無失点。56年以来の夏切符の鍵を握る男の調子は上向きだ。【菊川光一】

 ◆河浦圭佑(かわうら・けいすけ)2000年(平12)12月8日、北九州市小倉北区生まれ。小1でソフトボールを始め霧丘中野球部所属。小倉では昨秋最速147キロを記録。今春習得した安田スーパーバイザー直伝のカットボール、チェンジアップなども武器。遠投105メートル。50メートル6秒7。あこがれは楽天則本。好物は肉。右投げ右打ち。176センチ、80キロ。家族は両親と兄。