前ロッテのサブロー氏(42)が、高校野球100回大会の日刊スポーツ「編成部長」に就任した。名門PL学園(大阪)からドラフト1位でロッテに入団し、「つなぎの4番」として活躍。現役時代に中学硬式野球チーム「千葉幕張ボーイズ」を設立するなど多くのアマチュア選手の育成に携わり、引退後はどういう選手がプロで成長するか研究を続けてきた。「将来、プロで活躍する選手を探す」という視点で、全国の球児をチェックする。

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 大阪桐蔭-東海大相模の練習試合を視察するため、7月1日に大阪に行った。

 選手を見るポイントとして挙げたい点は3点。

 ★スピードガン表示は関係ない

 プロでは、スピードではなく「球のキレ」といわれるスピン量、回転数が重要になる。高校生は、高めの直球で空振りを取れるかを注視したい。昔の西武西口投手のような140キロ台前半でもスピンが利いた直球を思い返してほしい。東海大相模・斎藤投手もスピードは140キロ前後だが、3~4年後に直球、変化球のスピン量をどれだけ上げられるかという視点で見れば楽しみだ。

 ★縦変化へのこだわり

 本当のいい投手は、高校時代は直球とカーブだけでいい。もう1つというならフォーク。今は高校生もツーシーム、スライダーといった横の変化が主流だが、縦の変化で勝負できる投手が出てきてほしい。ただでさえ打者は縦の変化、奥行きに弱いとされている。直球とカーブがあれば、それだけで緩急になる。PL学園の先輩桑田さんが代表的で(ドジャース)前田投手も高校では直球とカーブだけで抑える課題を与えられていた。今でこそスライダーの印象が強いが、対戦する時はカーブが邪魔だった。意識から消せないから、スライダーが有効になる。

 ★強いスイング

 野手はとにかく振る力。フルスイングでボールをとらえる力。現役時代、一番大切にしていたことで、ティー打撃は120%の力で振っていた。走る姿勢も大事。下半身が強くなれば、スイングも強くなる。大阪桐蔭・藤原はセンターの守備位置からベンチに戻る走り方もバランスが良く、躍動感があって体のバネを感じた。

 100回大会の夏がいよいよ本格的に始まる。投手も野手も、将来の球界を背負うようなスケールの大きい選手を探していきたい。

 ◆サブロー(大村三郎=おおむら・さぶろう)1976年(昭51)6月1日、岡山市生まれ。PL学園から94年ドラフト1位でロッテ入団。11年途中に巨人へトレード移籍も、同年オフにFA宣言してロッテ復帰。16年に現役引退後、ロッテのスペシャルアシスタントを務める。通算1782試合、1363安打、127本塁打、打率2割6分5厘。ゴールデングラブ賞2度。181センチ、90キロ。右投げ右打ち。