横浜清陵総合(南神奈川)が機動力野球で上矢部を破った。今夏限りで退任予定だった佐藤雄彦監督(63)が1月の練習後、自宅で脳卒中で倒れた。1カ月間も集中治療室にいたが「最後の夏なのでグラウンドに立ちたい」と医師も驚くほど必死のリハビリで6月に復帰した。左半身にまひが残り、以前のように大きな声は出ないが、松葉づえを片手に必死にサインを出した。佐藤監督は「最後かと思っていたけど、勝利というプレゼントをいただきました」と喜んだ。

 谷内達哉主将(3年)を中心に「監督のために1つでも多く勝って、1日でも長い夏を」と選手全員で意識を共有。監督不在の間も教えを守って機動力野球を練習してきた。バントや盗塁を多用した勝利に佐藤監督が「選手を信じていたので」と言えば、谷内も「成長した姿を見せたかったので、教わった通りの試合ができた」。監督との最後の夏はまだ終わらない。