住みたい街ランキング上位の川崎・武蔵小杉駅から1・5キロ圏内にある両校による“ムサコダービー”は、シード校の橘に軍配が上がった。

 4回2死満塁、8番・福田晟祐外野手(3年)のバットが、均衡を破った。カウント2-2からの直球を振り抜くと、打球は左中間を真っ二つに切り裂いた。走者一掃の先制3点タイムリー三塁打。「悔いのないスッキリしたスイングをしようと思っていた。打ったボールの前、ファウルになったストレートがドンピシャだったので、真っすぐに懸けてました」と、狙い通りの直球打ちだ。

 7回には小坂琢馬内野手(3年)が、大会20号、自身高校2本目、公式戦では初の本塁打を左翼スタンドに運んだ。「横浜スタジアムで打てて、メッチャ気持ち良かった」と、目尻は下がりっぱなしだ。

 “ムサコダービー”だけに幼なじみも多い。住吉エース横山篤志投手(3年)と橘5番の羽二生和樹外野手(ともに3年)は「2歳のころから公園で遊んでました」(羽二生)という間柄で、小学校、中学のチームも一緒。福田茂監督(50)は4回の満塁を作る場面を振り返り「羽二生が気持ち入りすぎて、サインも見ないんです。思わず口で『ヒットエンドランだ』って言いましたよ」と、笑いながら舞台裏を明かした。熱い戦いを圧勝で制した福田監督は「秋は練習試合で大敗しているんですよ。チームで一番ガッツのある福田が、よく打ってくれました」と、リベンジに成功してホッとした様子だった。