金沢の小さな大エース、田中翔也投手(3年)が完投するも、準々決勝で散った。

 田中は2回を悔やんだ。先頭の星槎国際湘南・神尾を内野安打で塁に出し二盗、三盗を許した。「いつもなら(二塁)ランナーを見ているのに、何かプレッシャーを感じてその時だけ見ていなかった。その後、スクイズを決められた」。「いつも通り」ができずに先制点を献上。2点を追う8回には5連打を浴び4点を奪われた。

 勝利を届けたい人がいた。昨夏に亡くなった父方の祖父だ。大会が近かったこともあり葬式には出られなかったという。「野球の道具を買ってもらったこともあった。自慢できる結果じゃないけど、8強までいけたことを報告したい。『終わったよ』って」。ピアノが得意で器用な文武両道校のエースは、進学後に野球を続けるかどうか、もう少し落ち着いたら考える。