第100回全国高校野球選手権記念大会は、第2日の1回戦4試合が行われる。元球児による「レジェンド始球式」は箕島(和歌山)で79年に星稜(石川)と延長18回の死闘を演じた石井毅氏が登場する。

<見どころ>

▽1回戦

【第1試合(8:00) 山梨学院(山梨)-高知商(高知)】

 山梨学院は県大会で甲府工(準決勝)、帝京三(決勝)を破り3年連続8度目の夏切符をつかんだ。昨秋の県大会は決勝で東海大甲府に3-14と大敗。足腰を中心とした体作りから再起を図り、今春の県大会では決勝で東海大甲府に雪辱した。夏の県大会を打率6割1分1厘、10打点、1本塁打と引っ張った4番中尾、那須清峰との初戦で2打席連続本塁打を放った5番野村、長打力のある1年生捕手の6番栗田らで形成する打線は力強い。投手は140キロ超の直球と切れのある変化球が武器のエース左腕・垣越に加え、右の鈴木、左の星野らが急成長。県大会の全5試合を全て継投で勝ち上がった。全国優勝経験があるサッカー部、駅伝部に続けるか。

 12年ぶり23度目の出場となる高知商は創部100年の節目の年に夏の甲子園に帰ってきた。県大会で9連覇を狙った明徳義塾を10-2と圧倒した打線は全国レベル。4番藤高を中心にした中軸に加え、県大会4試合で打率5割7分1厘を記録した7番藤田、同5割3分3厘を誇る9番浜田ら下位も好調で切れ目がない。エース右腕・北代は今大会注目投手の1人。184センチの長身からの速球と90キロ台のスローカーブを織り交ぜ、打者に的を絞らせない。チームは78年夏の準優勝など、これまで春夏通算59勝。勝てば節目の60勝となる。

◆山梨学院のおもなOB 巨人松本哲也コーチ、元ヤクルト伊藤彰

◆高知商のおもなOB 元阪神中西清起、阪神藤川球児

 

【第2試合(10:30) 作新学院(栃木)-大阪桐蔭(北大阪)】

 史上初2度目の春夏連覇に挑む「最強軍団」大阪桐蔭と、62年に史上初となる春夏連覇を達成した作新学院の「春夏連覇」対決は1回戦屈指の好カード。

 8年連続出場の作新学院は県大会を1試合平均11安打の強打で勝ち上がった。打率5割の5番沖、主将で同4割9厘の4番磯、佐野日大との準々決勝で2打席連続本塁打を放つなどチームトップの10打点を記録した2番篠田らが中心。県大会6試合全てで先制するなど集中力も光る。エース右腕高山は140キロを超える直球を制球良く低めに集め、県大会17イニングで17三振を奪った。2年生右腕の林は緩急を巧みに使いコーナーを突く制球力を武器に安定感がある。16年夏は今井達也投手(現西武)を擁して54年ぶりの優勝。3度目の頂点を目指す。

 大阪桐蔭は4番藤原、「二刀流」根尾、エース柿木ら多くのドラフト候補を擁するタレント軍団。北大阪大会では、17年春のセンバツ決勝で日本一を争ったライバル履正社との準決勝で、1点を追う9回2死走者なしまで追い詰められながら逆転勝利する執念を見せた。最大の壁を乗り越え迎えた大院大高との決勝では、85年に清原、桑田の「KK」を擁したPL学園などがマークしていた大阪大会決勝最多17得点を大幅に更新する23得点で歴史的Vを飾った。堂々の主役として甲子園に乗り込み偉業に挑む。

 大阪桐蔭は甲子園初戦で春夏通算18勝1敗。西谷監督は勝てば節目の50勝目で、明徳義塾・馬淵監督に並ぶ5位タイとなる。

◆作新学院のおもなOB 元巨人江川卓、ロッテ岡田幸文

◆大阪桐蔭のおもなOB 日本ハム中田翔、西武中村剛也

 

【第3試合(13:00) 北照(南北海道)-沖学園(南福岡)】

 5年ぶり4度目の北照は、南北海道大会7試合中4試合が3点差以内での勝利と、競り合いを制する中で成長し勝ち上がった。小樽潮陵との小樽地区代表決定戦は初回に13得点、2回にも2点を加え大量リードしながら3回降雨ノーゲーム。翌日の再試合は4点を追い終盤を迎える苦しい展開となったが、8回に6点を奪い逆転勝ちを飾り勢いに乗った。決勝では4番岡崎がサイクル安打で6打点を挙げるなど18安打の猛攻で、今春センバツ出場の駒大苫小牧を15-2と圧倒した。打の中心が岡崎なら、投の中心は変則左腕のエース原田。曲がりの大きいスライダーを武器に攻めの投球を貫く。チームは春5勝(5敗)を挙げているが、夏は3戦未勝利。チームの合い言葉は「歴史を変える」。悲願の夏1勝を挙げて、続く第4試合で登場する同じ北海道勢の旭川大高にも良い流れを作りたい。

 沖学園は春夏通じて初の甲子園。創部61年目で悲願を達成した。全国V経験のある西日本短大付戦を前に「眼筋を鍛えるため」(鬼塚監督)と速読トレーニングを導入した。西日本短大付戦で打線が爆発し効果が出ると、練習前にも取り入れた。その後もノーシードから勝負所の集中打で強豪校を次々と撃破した。投手は斉藤、石橋の2枚看板。県大会では斉藤が全6試合に先発し4回戦以降の4試合を1人で投げきった。九産大九州との決勝戦ではカーブ、スライダー、フォーク、シンカー、チェンジアップと5種類の変化球を駆使して2安打完封を飾った。まずは初戦を突破しメモリアル大会で大暴れを目指す。

◆北照のおもなOB 長野五輪ジャンプ金メダリスト船木和喜、元ヤクルト米野智人

◆沖学園のおもなOB 楽天久保裕也、歌手川嶋あい

 

【第4試合(15:30) 旭川大高(北北海道)-佐久長聖(長野)】

 旭川大高は9年ぶり8度目となる夏の甲子園。投手陣を中心とした守りと走者を確実に進めて安打で返す手堅い試合運びで北北海道大会を勝ち抜いた。エース沼田を中心とする継投で勝ち進んで迎えた決勝では、沼田が140キロ台中盤の速球と変化球を織り交ぜ被安打6の完投。決勝までの5試合で64安打44得点を叩き出した強打のクラーク国際との大一番で意地を見せた。打撃、守備の中心を務めながら地区予選初戦で右くるぶしを骨折し、北北海道大会は代打の1打席のみに終わった背番号8の佐々木が復調するなどチーム状態は上向きだ。第3試合では同じ北海道勢の北照が登場。3年連続となる北海道勢同日初戦を制し、北海道の夏を1日でも長いものにしたい。

 佐久長聖は2年ぶり8度目の夏出場。勝負強い打撃で粘り強く接戦を勝ち抜いた。長野大会の6試合で打率3割9分9厘を誇った打線の中心は、1番打者として打率5割でチームトップ11打点を挙げた真鍋主将。身長170センチと小柄ながら存在感は絶大だ。県大会の準々決勝から3試合連続完投のエース林は140キロ台の速球とコントロールを武器に大崩れしない強さを持つ。長野県勢はこれまで夏通算59勝。節目の60勝目で初戦突破を狙う。

◆旭川大高のおもなOB 元近鉄鈴木貴久、大相撲旭大星

◆佐久長聖のおもなOB 陸上大迫傑、スケート菊池彩花