大会第3日の「レジェンド始球式」には、鹿児島実のエースで元巨人投手の定岡正二氏(61)が登場した。

 インサイド高めに直球を投げ込み、笑顔でマウンドを降りた。「少し緊張しましたが、うれしかったです。(甲子園は)プロでは投げていますが、44年ぶりに幸せでした。甲子園に出た時の思い出や気持ちを感じました。軽く投げようと思っていましたが、捕手や打者がいて力が入りました。60歳を過ぎて、こういう機会を頂けるとは思っていなかったので、うれしいです」と振り返った。

 高校2年の74年夏、準々決勝で原辰徳氏(前巨人監督)擁する東海大相模(神奈川)と対戦。定岡氏は延長15回を投げ、5-4で激闘に勝利している。今大会6日の第4試合佐久長聖-旭川大高は、史上初のタイブレークに突入した。当時との違いについて「時代によって、変わるものがあるし、選手のためもある。僕は(タイブレーク導入は)良かったと思う」と話した。

 母校は8日の第2試合に登場し、金足農(秋田)と対戦する。「甲子園は、近くて遠いところ。出場すると身近に感じて、自分たちもできるという感覚を持てる。力いっぱい打って、投げて、走って、悔いのない青春を、一瞬にぶつけてほしい」と後輩にエールを送った。

 エスコートキッズを務め、ともにマウンドに上がった中山啓史郎くん(明石市立花園小5年)には「定岡さんを知っていましたか?」と質問。中山くんが「ハイ!」と元気よく答えると、顔をほころばせた。中山くんは「次は、高校生になって、自分の実力で立ちたいです」と目標を掲げた。