連覇を狙う花咲徳栄(北埼玉)は終盤の8回、スーパー1年生の井上朋也外野手が逆転の適時二塁打を放ち、苦しみながらも初戦を突破した。

 花咲徳栄のスーパー1年生が、試合を決めた。1点を追う8回2死一、二塁、井上が逆転の適時二塁打。投打で活躍した野村とともに、3安打2打点の活躍で勝利に大きく貢献した。「最高でした。(1年生の)自分が打てば、勢いづくと思った」。言葉通り、先発全員の13安打8得点で初戦を突破した。

 生駒ボーイズ(奈良)に所属した中学時代から、抜群に勝負強かった。中3の南大阪大会では準決勝で2発、ダブルヘッダーの決勝戦では3発をマーク。驚異の1日5本塁打で周囲の度肝を抜いた。この日、チームで観戦に訪れた生駒ボーイズの岡島光星君(15)は「全てで次元が違った」と先輩の伝説を証言した。

 身長180センチ、体重は甲子園入り後、「おいしいご飯と練習量の減少」で6キロ増の84・5キロ。父昌幸さん(50)は、恵まれた体格のルーツは曽祖父にあると推測した。明治生まれながら、身長は180センチ超え。円盤投げの選手だった。「国体に出たと聞いています」。どっしりと打席に立ち、力強くボールを打ち返した。

 埼玉から、何度も奈良に訪れた岩井隆監督(48)のおとこ気に触れ、入学を決めた。昨夏の決勝は自宅でテレビ観戦。優勝の瞬間は落雷による停電で見逃したが、連覇への思いは芽生えた。試合前、岩井監督から「覚悟を決めろ」とゲキが飛んだ。約4カ月前、関西から、関東の強豪校に「覚悟を決めて」入った井上が、連覇に向け、チームを勢いに乗せた。【久保賢吾】

 ◆井上朋也(いのうえ・ともや)2003年(平15)1月28日、大阪・四條畷市生まれ。小2から野球を始め、中学時代は生駒ボーイズに所属。17年の世界少年野球大会で日本代表に選ばれた。花咲徳栄では今春の県大会からレギュラーで、高校通算9本塁打。先輩の野村を目標に挙げる。小1から小6まで続けた空手は黒帯。好きな食べ物はもんじゃ焼き。180センチ、84・5キロ。右投げ右打ち。