2年連続出場の札幌大谷が白樺学園を5-1で下し、準優勝した13年以来5年ぶりに4強に進出した。公式戦初先発の背番号17、右横手投げの太田流星(2年)が9回1失点で初完投。打線も8犠打3盗塁と小技、足技を絡めて加点し、流れを引き寄せた。

思わず声が出た。9回2死、最後の打者を空振りの三振で打ち取ると、札幌大谷の太田は空を見上げ、雄たけびを上げた。「出来ることをいつも通りやろうとしただけ。野手が周りから声を掛けてくれて気持ちよく投げることができた」。最速125キロと球速は遅いが、右横手からの変化球を駆使して10三振を奪い、4強進出に貢献した。

本来リリーフ役の太田が粘った。強力打線が持ち味の白樺学園対策として船尾隆広監督(47)は「コースに投げ分ける制球力がある」と、この日の朝に先発を伝えた。当初7回から継投予定も「6回に2点取れたので7回も引っ張ったら、その後またギアを入れ直してくれた」。直後に3者連続三振を奪うなど力投し、9回142球を投げきった。地区から5戦に登板し計20回2/31失点。普段は本格派のエース右腕西原健太(2年)を支える脇役が、主役になった。

打線も、変幻自在な姿を披露した。初戦の滝川西戦は本塁打含む4長打を生かして5点奪い、この日は8犠打、3盗塁を交え5得点。3回無死一塁では4番の西原も送りバントした。「勝負は何が起きるか分からない。タイミングが合っていないと言うこともあったので」と船尾監督。16年春に初の全道制覇を果たして以降、同年夏から今夏まで7季で4度地区敗退し、昨夏の南大会4強が最高成績。再び王座に返り咲くため、執念の采配を見せた。

長打から小技まで、投手陣は先発、救援にこだわらず、それぞれが持ち場でベストを尽くす。サッカー日本代表の西野朗元監督(63)を敬愛する太田は「西野さんのように、急に出番が来ても準備できるようにしておくことが大事」と言う。誰もがいつでも主役になれる総力野球で、初の聖地を狙う。【永野高輔】