今夏の甲子園で準優勝した金足農(秋田)の高橋佑輔内野手(3年)が7日、東農大北海道オホーツク(北海道学生)に合格した。「6番一塁」として横浜(南神奈川)との甲子園3回戦では、公式戦初アーチとなる起死回生の逆転3ラン。チーム唯一の畜産学専攻で、将来は教師も目標に掲げて文武両道を貫くつもりだ。日本ハム1位入団の吉田輝星投手(3年)と同じ北の大地で、さらなる飛躍に挑む。

カナノウの「生き物係」高橋が、自然豊かな北海道を、次の活躍舞台に選んだ。「野球ももっとうまくなりたいし、将来は生きる大切さを教えられる先生にもなりたいんです。野球では吉田にかなわないけれど、自分だって勝てるものもあると思う」。チームで唯一の生物資源科で畜産学を専攻。甲子園入り前には、豚や鶏にも必勝を誓って準優勝を土産にした。「動物は人間のために生まれて、人間のために育って、人間の体のためになってくれる。支えてくれる動物も人間にも、すべてに感謝です」の精神の持ち主。東農大の生物産業学部北方圏農学科でも、さらに幅広い勉学に励み、野球との両立も図る。

気迫や集中力は、吉田に劣らない。横浜との甲子園3回戦、2-4で迎えた8回1死からバックスクリーンに逆転3ラン。秋田県勢103年ぶりの決勝進出に、勢いを加速させた1発だった。福井国体でも常葉大菊川(静岡)戦で左越え2ランを放ち、高校通算2号。チームを鼓舞する明るい性格と勝負強い打撃力でアピールする。

同大は北海道学生1部リーグで28度の優勝を誇る強豪だ。97年に大学選手権8強、14年には明治神宮大会4強。岩手・九戸村出身で14年ヤクルト2位の風張蓮投手(25)ら数多くのプロ選手を輩出。今年もエース岡本直也投手(22)がソフトバンク育成2位指名された。

新語・流行語大賞にノミネートされた「金足農旋風」。高橋は「農業旋風」を継続させる期待も背負う。吉田とともに「北の国から~カナノウナイン飛躍~」の続編が楽しみだ。

◆高橋佑輔(たかはし・ゆうすけ)2000年(平12)12月15日、秋田市生まれ。小4に勝平野球スポーツ少年団で野球を始め、勝平中では軟式野球部。中3秋から秋田北シニア。今夏の秋田大会では能代との3回戦でもサヨナラ適時打を放つなど勝負強さが武器。特技は空手、水泳。趣味は釣り。178センチ、77キロ。右投げ右打ち。家族は両親と弟3人、祖父母。