ニッカンコムのページビュー数で2018年を振り返る「PVでPB ’18球界プレーバック」第4回は、100回目の大きな節目を迎えた夏の甲子園大会を取り上げる。大阪桐蔭の春夏連覇に、金足農の旋風。大会前には地震や豪雨といった天災にも見舞われ、熱中症対策が大きな問題になった。甲子園史上初のタイブレークも実施され、さまざまな面で注目を集める記念大会になった。

松井秀喜氏の「レジェンド始球式」から始まった100回目の夏の甲子園。史上最多56校の頂点を決めた決勝は、長い歴史の節目にふさわしい対決となった。史上初となる、同校2度目の春夏連覇を目指した大阪桐蔭。1915年の「第1回全国中等学校優勝野球大会」以来、秋田県勢として103年ぶりの決勝進出を果たした金足農。根尾昂内野手や藤原恭大外野手ら多数のドラフト候補がそろった「最強世代」と、吉田輝星投手を擁し「カナノウ旋風」を巻き起こした両校の熱戦は、甲子園を飛び越えて、全国の人々を魅了した。

災害や異常気象と闘った夏でもあった。6月18日には最大震度6弱の大阪北部地震が起き、6月下旬から7月上旬にかけて、西日本を中心に豪雨が襲った。特に被害の大きかった広島では、広島大会開幕を2度順延させ、当初の7月7日から10日遅らせた17日に開幕した。大規模な浸水被害のあった岡山では、会場の1つであった倉敷市営球場が自衛隊の活動拠点となり、急きょ日程を再考。「野球をしていいのか」と戸惑いとともに、復旧活動を手伝いながら参加する球児たちも多くいた。

「数多くの災害に見舞われ、人々にとって、笑顔だけでは乗り越えることのできない悲しみがありました。しかし甲子園は勇気、希望を与え、日本を平和にしてきた証しです」。近江(滋賀)の中尾雄斗主将(3年)は、甲子園の選手宣誓に100回大会の重みを込めた。記録的な猛暑から、数々の熱中症対策が実施された。アルプス席には散水機を3台ずつ用意。開会式で選手たちはペットボトルを携帯し、入場行進後に給水タイムを設けた。地方大会でも各県の高野連は、暑さ対策に頭を悩ませた。京都では準々決勝4試合を、休憩時間をはさみ午前と午後2試合ずつに分けて開催。異例のナイター試合となった。

新たな歴史の1ページを刻んだ夏でもあった。佐久長聖(長野)と旭川大高(北北海道)の1回戦で、甲子園史上初のタイブレークが行われた。延長13回無死一、二塁から開始。“最初”の勝者は、延長14回に内野ゴロの間に決勝点を奪った佐久長聖だった。済美(愛媛)と星稜(石川)の2回戦でもタイブレークに突入。済美が延長13回、大会史上初となる逆転サヨナラ満塁本塁打で勝利した。

龍谷大平安(京都)が春夏通算100勝を達成し、大阪桐蔭が史上初の2度目の春夏連覇を達成。全ての熱戦が、歴史的な記録と多くの人の記憶に刻まれた。日本高野連は「高校野球200年構想」を掲げる。未来へ、101回の夏からまた歴史を紡いでいく。【磯綾乃】