第91回選抜高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)の選考委員会が25日に大阪市内で開かれ、ともに史上初のセンバツ3連覇と春、夏、春の甲子園3連覇を目指した大阪桐蔭が落選した。昨秋の近畿大会はベスト8どまり。近畿6枠をめぐる争いで、条件的にはボーダーライン上だった。甲子園出場を逃すのは16年夏以来、5季ぶり。

希望の電話は鳴らなかった。大東市内の校内。選手はユニホーム姿で1階のIT教室内でネット中継に見入った。だが、学校名を呼ばれず「ああ~」と悲嘆の声が上がったという。数分後、校長室には「近畿の補欠1位校」と伝える電話が入った。

西谷浩一監督(49)は「力不足。全員で優勝旗を返しに行きたいと目標にしていた。秋に勝ちきれなかったので、いたしかたない。こうなる可能性は十分分かっていた。夏の日本一、一本に絞る覚悟が決まった瞬間でした」と厳しい表情だった。主将の中野波来外野手(2年)は「悔しい思いが一番です。全てにおいて力不足。ここまでセンバツ日本一を目指して練習してきた。全員が夏1本に向けて切り替えていると思う」と上を向いた。

前人未到の記録への挑戦権は得られなかった。昨秋の大阪大会で準優勝。決勝で履正社に敗れ、昨年のセンバツから続いていた公式戦連勝が「36」で止まったが底力を示した。近畿大会は初戦で橿原(奈良)にコールド勝ちし、準々決勝で智弁和歌山に2-5で敗れた。当確ランプはともせなかったが、決して高くはない下馬評から選出ラインまで上がってきた。

前チームは中日根尾昂内野手、ロッテ藤原恭大外野手と2人のドラフト1位に、巨人4位の横川凱投手、日本ハム5位の柿木蓮投手(いずれも18)と4人のプロを生んだ。新チームで昨夏の甲子園でベンチ入りしていたのは、ともに補欠だった中野と宮本涼太内野手(ともに2年)だけ。甲子園の決勝まで戦ったため、新チームの始動は8月23日までずれ込んだ。まさに1からのスタートだった。

秋の公式戦でチーム最多3本塁打の西野力矢内野手、同2本の船曳烈士外野手の1年生コンビが中軸に座る文字通り若いチームだ。先輩から受け継いだ偉大な記録は途切れたが、夏に向けた新たな挑戦が始まった。