“農業系エース”が好発進した。21世紀枠で今春センバツ甲子園に出場する石岡一(茨城)の岩本大地投手(2年)が9日、今年の対外試合解禁後初戦となった田村(福島)との練習試合で好投した。

ダブルヘッダーの第1試合、8回に4番手で登板した。先頭の左打者を直球で一ゴロ。次打者は味方の失策で出塁されたが、続く左打者をスライダーで空振り三振。最後は右打者を直球で詰まらせ、二ゴロに打ち取った。

石岡一は1910年(明43)に農学校として開校された歴史を持ち、普通科の他にも、園芸科、造園科がある。造園科で学ぶ岩本は、昨夏甲子園を沸かせた同じ農業系エース、金足農・吉田(現日本ハム)が目標。プロも注目する最速147キロ右腕は「久々の試合だったので、あまりコントロールは気にせず、いい球を投げようと思いました」と、どれだけ腕を振って投げられるかに重点を置いた。狙いどおり、低めの真っすぐに伸びがあった。スピードガンがなく球速は不明だが、「一冬超えて、低めが良くなりました。今日は、130キロ台後半から140キロぐらい」出た感触だったという。

直球が伸びた裏では、工夫をこらしていた。普段は振りかぶって投げるワインドアップだが、この日は走者がいない場面でもセットポジションから投げた。「久々なので、しっかり立って投げようと。フォームがグチャグチャにならないようにです」と、スムーズな体重移動を心掛けた。

一方で、スライダーの制球に苦しんだ。2死二塁で迎えた右打者に対し3球投げたが、全て外れた。引っかけと抜け、両方出た。ただ「変化球はブルペンでも入らなかった」ので想定内だった。カウント2-1では自ら首を振り、スライダーを投げた。「真っすぐは投げられていたので」とスライダーをあえて選択。結果、外れて3-1となったが、動じない。次の真っすぐで詰まらせて二ゴロ。貴重な実戦機会を存分に利用した。

川井政平監督(44)は「久しぶりだったけど、低めにしっかり投げられていた」と合格点。岩本は「変化球の感覚を戻さないと、甲子園で戦えない。精度を上げていきたいです」と反省を忘れなかった。【古川真弥】