23日に開幕するセンバツの最注目選手、星稜(石川)の奥川恭伸投手(3年)が打倒・履正社(大阪)へ本番モードに入った。16日、滋賀県彦根市で近江(滋賀)と練習試合。全国クラスの強豪に対し、7回94球を投げて無失点。イニングはこの春最長で、球数も同最多。5安打、無四死球と危なげなく退けた。

3イニングずつにとどめたこれまでの3試合とは違った。スライダーは強く指先で切り、ワンバウンドさせて空振りを狙った。2回は連打で1死二、三塁とされた後、空振り三振、投ゴロ。走者を背負った途端に力加減を変えた。直球は148キロをマークした。

「スイッチが入って、緊張感が高まった。本番に近い形でやれたので、すごく収穫がありました。すごく順調にきています」。15日の抽選会で初戦の相手が強敵の履正社に決まった。しかも開幕日の23日だ。林和成監督(43)からは、ナインに「甲子園1回戦のつもりで」と指令が飛んでいた。エース右腕も無失点にこだわり、結果を出した。

彦根城に近い近江グラウンドに6球団13人のNPBスカウトが詰めかけた。中日は松永編成部長を含め4人が来校。米村チーフスカウトは「強弱をつけられるので、より勝てる投手になってきた。スタミナも問題ないし条件がそろっている。大学・社会人を含めても完成度は1番じゃないか」と、うなるしかない。

「途中から納得がいく球が出だして、昨年秋のような(投球が)楽しい感覚が戻ってきた」と奥川。大注目の一戦へ、不安要素はほぼなくなった。【柏原誠】