平成最後のセンバツは東邦(愛知)の勝利で幕を閉じた。「センバツプレーバック」と題し、担当記者たちが熱き戦いを振り返る。全4回でお届けする。  

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やはり「守れるチーム」が強かった。担当地区である九州の筑陽学園(福岡)、大分が勝ったゲームは失策数が0だったが、負けた試合は失策が失点に絡んだ。日章学園(宮崎)は6失策で初戦敗退。明豊(大分)は3戦計2失策で勝ち上がったが準決勝は3失策で敗れた。守備は鍛えれば上達するといわれる。各チームが工夫をこらし甲子園にやってきていた。

リハーサルが行われた3月22日、大分の練習を取材した。内野のシートノックが時間がたつにつれ白熱。松尾篤監督(45)の怒号が鳴り響いた。「何度、同じことを言わせるんだ! やる気がないなら背番号を他の選手と替えてもいいんだぞ!」。しかられている選手はもちろん、内野全員が直立不動。誰かがポロっとするたびに「怒号と直立不動」が繰り返された。一見、厳しすぎると思われる光景だが、松尾監督の言葉には説得力があった。「ワンバウンド送球でも仲間が捕ってくれたら頭くらい下げろ!」「お前が気が抜けたプレーをしたら仲間がゴロを必死に捕ったことが無駄になるだろう!」。守備では「相手への思いやりが大事」と訴えていた。

熊本西は「失策をする練習」をしてきた。例えば遊ゴロを一塁に「わざと」悪送球。カバーの捕手が二塁に走った走者を刺そうと二塁に投げるが悪送球。カバーの外野手がトンネルする…。この「ミスの連続」を5回以上するという。横手文彦監督(43)は「カバリングの確認はもちろんですがミスした後に何をすればいいか。ミスをしてみてミスしないようになる。エラーはするもの。一番ダメなのは連鎖反応で失点すること」と語っていた。

熊本西は初戦で智弁和歌山に大敗を喫したが、失策は投手の一塁へのけん制悪送球のみ。守備機会の失策はなかった。

夏8回、春は10回目の取材経験をもつ小生だが、夏に向かう球児にこの言葉を贈りたい。「投球には魂を、送球には愛をこめろ」。【浦田由紀夫】