国士舘が帝京に競り勝ち準決勝に進出した。国士舘は同点で迎えた6回に沢野智哉捕手(3年)のソロホームランで勝ち越すと、連打を重ねてさらに3点を加点。

これに対し帝京は8回、無死満塁の好機に、代打寺地裕幸外野手(3年)が二ゴロ。国士舘の伊藤優二塁手(2年)が好捕、体勢を崩しながら二塁へ送球し一塁走者を封殺した。

二塁への送球がやや高くなり、黒川麟太朗遊撃手(3年)は捕球してから懸命に一塁へ転送したが送球はそれ、いったんは帝京の二塁走者も生還し、なお1死二塁と思われたが、ここで審判団が協議を開始。

12分間の中断の末、帝京の一塁走者伊藤潤(3年)の走塁が、一塁へ転送した遊撃手の守備を妨害したとして、二塁走者の得点は認められず、打者走者もアウトとし、2死二塁からの再開となった。

この間、帝京は前田三夫監督(69)が主将の大内智貴外野手(3年)を通じて、説明を数回求めたが、最終的には前田監督が「これだけお客さんが入っている。待たすわけにはいかない」として判定を受け入れた。

試合後の前田監督は「国士舘の二塁手から遊撃手への送球は高くそれていた。従って遊撃手の体勢は崩れていたので、打者走者のセーフと思っていた。ただ、審判は一塁走者が遊撃手の送球を妨害したとして、打者走者はアウト、という説明だった。うちの選手は一塁をセーフにするために、送球を妨害するようなしぐさはまったくしていない。二塁への送球が高く、体勢が崩れた送球で一塁がセーフになったと思っていた。しかし、審判は送球を妨害したという説明で、最後までこちらの主張とかみ合わなかった。最後は私が引きました。これはひとつの課題にしてもらいたいとは伝えました」と、事情を冷静に説明した。

12分の中断の間、スタンドからは速やかな試合再開を求めるやじが飛び交い、「高校野球なんだから」「審判しっかりしろ」などの声が飛び交った。