新体制初シーズンの東北が佐沼を5-0で退け、4年連続44度目の4強に進出した。4番中西悠一郎外野手(3年)がソロ本塁打を含む4安打3打点の固め打ち。エース石森健大(3年)は4安打完封と投打がかみ合った。昨秋からOBの富沢清徳監督(52)を迎え、一冬で「富沢イズム」が浸透。東北大会出場まであと1勝とした。

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「型」で覚えたスイングで好球を呼び込んだ。中西は2-0の3回無死先頭で、フルカウントからの直球を強振。高々と左翼芝生席まで高校通算12号のアーチを描いた。「変化球に張っていたが対応できた。狙っていたわけではないけど(当たった)感覚は良かったです」。快音は止まらず、4回は右中間への適時二塁打、6回は三塁強襲安打、サイクルの期待がかかった8回は右前打。1回の第1打席も遊ゴロの間に先制の走者を迎え入れており、全5打席で仕事をした。

中西は和歌山県出身で、中学時代は硬式の南大阪ベースボールクラブに所属。技術鍛錬など育成を主眼に置く独立組織で、全国大会とは無縁だった。同クラブから初めて東北に入学し、「120人の中から背番号をもらった責任感がある」と、最後の夏に自身初の大舞台出場を意気込む。

富沢監督の就任以降はティー打撃を控え、素振りを繰り返した。同監督は意図について「ボールを打つと力みが出て、体も開いてくる。体の切れを出し、スイングスピードを上げ、自分のポイントで振る」と、理想のスイングを体に染みこませた。中西も「今日も引っ張るだけではなく、センターから右にも打球が飛んでいた」と効果を実感。春以降は打率も向上した。

富沢監督は高校時代、元マリナーズ佐々木主浩氏(51=日刊スポーツ評論家)とバッテリーを組み、昨年11月から母校を指導する。元捕手目線から、二塁を1度しか踏ませず完封したエース石森にも「まだ右打者を攻め切れてない。もっと良くなる」と注文を忘れない。春3連覇にも2勝と迫り、「大会を重ねることで夏への経験につながる。東北大会にはぜひ行きたいと思います」と、その先にある3年ぶりの甲子園出場を見据えた。【中島正好】