札幌地区で立命館慶祥が“クマ騒動”を乗り越え4年連続で初戦を突破した。札幌白石を7-0の7回コールドで下した。エースで主将の川村康輔(3年)が7回無失点、打っては1安打2打点と投打で活躍。

今月10日に江別市内の校舎に隣接する野幌森林公園付近にヒグマが出没。2日間、屋外練習を取りやめた中、9年ぶり地区突破へ好発進した。十勝地区では音更が清水を下し、4季ぶりの勝利を挙げた。

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“森の守り神”に届くように立命館慶祥ナインが勝利の校歌を円山の空に響かせた。昨夏南北海道大会出場の札幌白石を相手にコールド勝ち。笑顔で一塁側スタンドへ喜びのあいさつに駆けだした。エース右腕として7回4安打無失点で勝利に導いた川村主将は「初戦をしっかりと勝てたのは良かった」と喜んだ。

大会直前の今月10日に江別市内の校舎が隣接する野幌森林公園付近でヒグマが目撃された。その影響で翌11、12日は部活動の屋外練習がすべて取りやめになり、野球部も例外ではなかった。これまでリスやキツネは出没したが校舎付近にクマが目撃されたのは初めて。2日間は室内練習のみだったが「クマは海外では人間と神様の仲介役と聞いた」(川村)。チーム全体でも幸運な出来事だとプラスに捉えた。

精神的な成長を遂げたエースの好投に応え、打線は5回に打者11人で一挙5得点を挙げた。横山蔵人監督(58)は「うちは『キタキツネ打線』でやってきたけど(14年閉校の駒大岩見沢の愛称)『ヒグマ打線』に変えようかな」と冗談めかした。「クマは守り神」(同監督)の言葉には、2回無死満塁のピンチをしのいだ川村も納得顔でうなずいた。

札幌Dブロックは札幌第一や2回戦であたる札幌日大など強豪が集う激戦ブロック。クマ騒動にもうろたえなかったナインを引っ張る川村は「甲子園で校歌を歌いたい。そのためにも1つ1つ勝ち上がって南北海道大会につなげたい」。今夏の話題の中心をクマから立命館慶祥に変える進撃を目指す。【浅水友輝】