札幌地区で、札幌静修が千歳を21-1の7回コールドで下し、2年ぶりの南北海道大会進出に王手をかけた。2年生4番の川崎太成左翼手が、1点リードの3回1死一塁で公式戦1号となる左越え2ランを放つと、7回2死二塁でも、この日2本目となる左越え2ラン。今大会初の1試合2本塁打を含む、5打数5安打6打点と大爆発した。29日は室蘭、旭川、十勝、空知の4地区で代表決定戦が行われる。

令和の夏初のマルチ弾で流れを呼び込んだ。1点を勝ち越した直後の3回1死一塁、川崎は2ボールから、甘く入った内角直球を豪快に引っ張り、左翼スタンドへ。19-1と大きくリードをつけた7回2死二塁では、低め直球をジャストミート。再び左翼に運んだ。これが公式戦1、2号。本塁打含め5安打6打点の荒稼ぎに「人生初。怖いです。びっくり。自分じゃないみたい」と振り返った。

札幌第一の主将として12年夏の甲子園を経験している高石大全監督(24)にかけられた、2つの魔法が効いた。昨秋から4番に座っているが、公式戦では秋春と不発。短打は出ても長打は、今春の地区2回戦での1本のみ。長距離砲の素質はあるが、思い切りが足りないと見た同監督から今春の大会後、「とにかく初球から強く振って、相手にプレッシャーをかけるんだ」とカツを入れられた。

大会1週間前には、17年夏に甲子園最多本塁打を記録した広陵・中村奨成(現広島)の6本塁打をまとめた動画を見るよう指示された。川崎は「動画を見て、本塁打を打つイメージが、頭の中に焼き付いた」と言う。春までは体が前に突っ込み、打球が詰まっていたが、中村のフォームを参考に修正。右足にしっかりタメをつくることで、体重移動も安定し、確実にボールをとらえられるよう進化した。

大事な試合で結果を出した教え子に、高石監督は「内気な子で、なかなか自分の力を出し切れなかったが、今日はよく打ってくれた。これからも打線を引っ張ってくれたら」と期待。開眼した2年生スラッガーが今夏、一気に本塁打を量産し、チームを南北海道大会へと導く。【永野高輔】