夏の1勝は遠かった。部員10人の羽生実が浦和西に挑んだが5回コールド負けした。

初回にいきなり5点を先制される展開。2回以降も失策などが絡み、計18安打で22点を奪われた。

主将の横山大輔投手(3年)は、4月に全校生徒の前で「伝説」の演説を行った。部活紹介で他の部活が種目にあったパフォーマンスをする中、横山はユニホーム姿でマイクを持ち体育館の壇上で話した。「設備の良さ、指導者の充実、自分たちの取り組みを大真面目に語りました」。人前に出るのは得意ではなかった。周りから冷やかしもあったが「最後なので」と割り切った。すると1年が7人も入部した。

新チーム発足時は山口魁星(かいせい)内野手(2年)と2人だけだった。「2人っていう中で冬場のトレーニングとかは自分たちで盛り上げないと孤独に押しつぶされそうになって…1年生が入ってくることを願ってやりました」。つらい思いを演説に込めた結果、単独チームでの出場がかなった。

結果は大敗。「勝ちにいったので悔しい。接戦に持ち込みたかった。でも後輩たちには感謝しかないです」と涙ながらに振り返った。

「夢のよう」と語った単独チームでの出場。「勝てなかったけど、後輩たちに期待します」と最後は晴れやかに語った。【佐藤成】