今春の全道大会優勝校の駒大苫小牧が、昨秋の全道を制し、明治神宮大会で全国制覇した札幌大谷を破り、準々決勝に進出した。2-3の5回無死一塁から4番竹中研人捕手(3年)が右中間に逆転2ランを放ち、6回にも1点を追加して逃げ切った。

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体重100キロの「ぶーちゃん」が、かっ飛ばした。駒大苫小牧1点ビハインドの5回無死一塁。竹中は昨秋の明神宮大会優勝投手、札幌大谷エース西原の低め変化球に反応した。強振した打球は爽快な金属音を残し、バックスクリーン右に飛び込んだ。「向かい風だったので、どうかなと。何とか入ってくれて良かった」。中堅方向から吹く強い風をものともせず、高校通算22本目となる豪快な120メートル弾をたたき込んだ。

リベンジへの思いを乗せた1発だった。昨秋の全道大会準決勝の札幌大谷戦は、5打数無安打。チームは延長10回、逆転負けを喫し、センバツ切符を逃した。走者を置いた4打席で凡退し「4番の自分が決めなきゃという思いが強すぎた。春からは、後ろにつなごうという意識を徹底してきた。それが今日の打席で生きた」。全4打席出塁という結果が、精神的成長を物語っていた。

正捕手としての反省も生きた。札幌大谷との初戦が決まると、昨秋全道での自身の配球ノートをチェックし、チームでまとめたデータも頭にインプット。昨秋5回2死満塁で走者一掃の二塁打を許した相手主砲の石鳥を、この日は3打数無安打に封じた。「前回は内寄りの真っすぐでやられていたので、外のボールも生かしてみた」。スイッチが入ると止まらない札幌大谷打線に連打を許したのは、2失点した4回のみ。被安打10も、臨機応変の配球で、2年生エース北嶋をリードした。

佐々木孝介監督(32)は「昨年に比べ、考えたり、打者の反応を観察する余裕が出てきた」と言う。昨夏は南大会決勝で北照に2-15と大敗。竹中はベンチから声を出すしかできなかった。敗戦から学び、進化したパワフルな主砲兼司令塔が、12年ぶり夏の聖地を引き寄せる。【永野高輔】