豊富な実戦経験が強みだ。今春関東大会4強の山村学園が立教新座との接戦をものにし、16強に進出した。

岡野泰崇監督(43)は以前「ウチは乗ったら強いです。1~3番が塁に出ることですね。逆に先取点を取られると厳しいですね」と語っていた。

試合は2回に先制を許す展開。相手投手を打ちあぐね、6月の練習試合で17得点で大勝した相手にロースコアの展開になった。

我慢を重ね、7回に相手のエラーと交代直後の投手に初球スクイズを決めて2点を勝ち越し、勝負強さを見せつけた。

主将の坂上翔悟外野手(3年)は「経験が大きいです。あのような展開でしたけど、守備の部分で集中力を見せられた」と話し、5回1死一、三塁で重塁を仕掛けてきたが、ファースト益子宏斗内野手(3年)がすかさず三塁走者を刺してピンチを脱した場面をあげた。

山村学園は冬の間「ウインターリーグ」と呼ばれる紅白戦で多くの実戦経験を積む。

高野連の規定で12月1日~3月7日は対外試合をできないが、山村学園では毎日紅白戦を行い実戦感覚を鈍らせない。

主将や副将4人がリーダーとなって選手を選び、4チームで紅白戦を回す。平日は1試合で、他の2チームはグラウンド外でトレーニングを行い休日は2~3試合行う。何周かするとメンバーの入れ替えを行う。

打率や防御率など数値として個人成績を視覚化し、春のメンバー選考に役立てる。

例年打者は100打席ほど、投手は50~100イニングほどの経験を積む。勝ち切れた理由についてエース左腕和田朋也投手(3年)は「精神的なものですかね。練習試合の経験も含め、逆転できると自分たちがわかっている」と経験に基づいた自信を口にする。

岡野監督は「6月のオープン戦のことは忘れろと言いました。こういう展開になると思っていました。夏らしいですね。こういう厳しい試合に勝って成長するんだと思います」と安堵(あんど)の表情で手応えを口にした。