「群馬のミスターゼロ」は「ドクターK」でもある。前橋育英(群馬)の右腕エース、梶塚彪雅(ひょうが)投手(3年)が市太田打線を10奪三振、6安打2死球に抑え完封した。

6回完全投球でリリーフにつないだ渋川戦、先発、リリーフで計7イニング無失点だった渋川青翠戦に続く0封で、22回連続無失点。夏の大会ではまだ1点も許していない。奪三振も10、9、10と29個となった。

エースの自己採点は「味方が1点しか取れないときは、僕が0点に抑える。今日は点数をつければ30点。2死から簡単に走者を出したし、甘い球もあった」と激辛も、この日最速139キロの直球にツーシーム、カット、スライダーを有効に配し、相手打線を封じた。

「危機管理能力」も高い。7回1死満塁で打者に相手投手を迎えた場面。スクイズに対してとっさにボールの軌道を外し、空を切らせた。三塁走者を挟殺にし、難を逃れた。「三塁走者が動いたから来るぞ、と思った。完全に外すのではなく、須永(武志捕手)を信じて、バントしづらいところに投げた」。あの79年日本シリーズでの「江夏の21球」ばりのスクイズ外しだった。打っても4番で、この日3安打。177センチ、76キロの「ミスターゼロ兼ドクターK」はスクワットで、240キロを挙げる怪力の持ち主でもある。【玉置肇】