9回2死無走者。ここで上野学園の赤坂諒投手(3年)が、ギアを上げた。この日最速の149キロを出すと148キロ、147キロ、147キロと続け、修徳最後の打者を二ゴロに仕留めた。「最後を締めようとギアを上げました。後半はアドレナリンが出たみたいで」。同校初の4強入りを決めた投球を振り返った。

被安打4の1失点。もっとも三振は3。実は中盤、疲れもあって、横手から投げる場面があった。「タイミングが合ってなかったんで、抜いた速球を使った。今日はまっすぐとスライダーだけです」。186センチの右腕は、投げるたびに球速を上げてきた。3連投となった20日の駒込戦では、151キロを記録した。

冬場、中1日で100球を投げ込む練習を続けた。防御ネットの前に打撃用のティーを置き、ボール目がけて投げ込んだ。「捕手なしでできるんで」。最速140キロをアップさせるきっかけになった。スイングスピードもチーム一だ。「スイングは140キロ中盤ぐらい。フルスイングしたら当たりました」。2安打2打点して投球を支えた。

赤坂はこの日、5球団のスカウトを集めたが、進路は未定、野球を続けるかも未定だ。そんなエースが、準決勝に進出した。「甲子園へ行ってみたいです」。目標を4強入りから「初舞台」に切り替えた。【米谷輝昭】

◆赤坂諒(あかさか・りょう)2002年(平14)2月26日生まれ、東京都出身。上沼田小学校時代は、軟式チーム・プレジデントジュニアを結成。江北中ではブラックキラーズに所属し、外野手と投手。上野学園では1年生から投手に専念し、控えでベンチ入り。186センチ、83キロ。右投げ右打ち。

◆上野学園 1904年(明37)に上野女学校として創立された私立校。48年から現校名。2007年(平19)に男女共学となった。野球部も同年に創部。部員数は48人で、甲子園出場経験はない。主なOBは女優のいしだあゆみ、歌手の太田裕美。生徒数575人(女子278人)。所在地は東京都台東区東上野4の24の12。高橋公美子校長。