日本文理が“王座”を奪還した。東京学館新潟を12-3で破り、2年ぶり10度目の優勝を決めた。

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試合後、全校応援のスタンドへのあいさつを終えて戻ってきた東京学館新潟の選手がベンチ前のグラウンドにひざまずいて泣いた。9回1死で代打に立ち、捕邪飛に倒れた本間幹太(3年)が、3番手でマウンドに上がり2回を4安打3失点の長谷川輝投手(3年)が声を上げて泣いた。タオルを目にあて、ベンチにかがみ込む選手もいる。捕手の渡辺勇士主将(3年)は「ただ、ただ、突っ走ってきただけ。その勢いは日本文理に通じなかった」。

完敗だった。日本文理の先発・南投手の直球、スライダー、カットボールに手を焼く。6回までに出塁したのは1回先頭の其池勇哉遊撃手(3年)が初球に放った左前打と、6回1死に四球で歩いた目黒颯太外野手(3年)だけ。「県内の打者には厳しいと思うくらいだった」と長谷和昭監督(58)は言った。反撃は7回以降。南投手はその時、右翼の守備についていた。

長谷監督は東京学館新潟での指導者一筋で、チーム初の決勝進出だった。「32年間の監督生活。(甲子園出場の)チャンスは今回しかない」という強い決意で決勝に臨んだが、強豪の壁に夢を阻まれた。しかし、もう1度、甲子園に挑戦する機会はきっとくる。学校のグラウンドに人工芝が敷かれて3年目。環境も整い、今春1年生部員も大量40人が入部。チーム力は充実している。「もう1回。ラストもう1回、勝負をかけられるチームを作りたい」と長谷監督は男泣きしながら言った。【涌井幹雄】