大会最年長63歳の明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督が、同最年少26歳の藤蔭(大分)竹下大雅監督との“37歳差対決”を制した。90年に明徳義塾の監督に就任し、これが歴代4位タイとなる甲子園通算51勝目。

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甲子園51勝目は、新地で締めた。2点リードの最終回、馬淵監督は山田圭祐(3年)に代えて新地智也(2年)をマウンドに送り出した。「パッとひらめいた。山田が先頭打者に四球出しそうだし」。新地は無失点でしのいだ。

マジックはない。馬淵監督にあるのは経験で磨いた戦術と勘。継投は左腕林田を先発、2番手は右腕山田と決めて、プラスαの新地を使った。「問題はいつ代えるか。やっぱり、勝ってる時の早めがええ」。5回ゼロ封の林田が6点リードの6回に3失点すると迷わずスイッチ。山田は1点を許したが、7、8回は0で抑えた。

確信の攻め手もあった。「絶対、何度かエンドランをかけたろう」。最初は4回1死一塁、5番奥野の先制三塁打。6回1死一塁、8番米崎の2球目にも仕掛けた。藤蔭の大分大会のデータから「スッと甘い球が来るカウントがある」との自信があった。

監督として19度目の夏は、絶対的エースも主砲もいない。それでも、それなりの戦い方はある。次はV候補の智弁和歌山戦。「大変ですよ。誰が見ても向こうが上」とこぼしながら「食らいつく。野球はわからん。食らいついて、うまいことやったら、何が起こるかわからん」と笑った。真夏の日差しが厳しいベンチ最前列に立つ。「暑いとか一切感じません。試合終わったら、パンツびちょびちょですけどね」。気力充実の63歳に、策はある。【加藤裕一】

◆甲子園監督勝利10傑◆

(1)高嶋仁(智弁学園-智弁和歌山=73歳)

68勝35敗、勝率.660、優勝3回

(2)中村順司(PL学園=73歳)

58勝10敗、勝率.853、優勝6回

(3)西谷浩一(大阪桐蔭※現役=49歳)

55勝9敗、勝率.859、優勝7回

(4)渡辺元智(横浜=74歳)

51勝22敗、勝率.699、優勝5回

(4)前田三夫(帝京※現役=70歳)

51勝23敗、勝率.689、優勝3回

(4)馬淵史郎(明徳義塾※現役=63歳)

51勝31敗、勝率.622、優勝1回

(7)木内幸男(取手二-常総学院=88歳)

40勝19敗、勝率.678、優勝3回

(8)阪口慶三(東邦-大垣日大※現役=75歳)

38勝31敗、勝率.551、優勝1回

(9)蔦文也(池田=77歳没)

37勝11敗、勝率.771、優勝3回

(9)小倉全由(関東第一-日大三※現役=62歳)

37勝19敗、勝率.661、優勝2回