佐渡が4-2で今夏4強の新潟に逆転勝ちし、4回戦進出を決めた。スクイズで2-1と勝ち越した後の4回表1死二、三塁、9番伊藤亜友斗二塁手(2年)が右越えの2点適時二塁打を放って突き放した。

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手ごたえはあった。「右翼の頭を越えたと思った」。左打席から飛球を放った伊藤は打球の行方に自信を持った。走者2人が生還したのを二塁上で無表情のまま確かめる。内心は「うれしかった」と喜びでいっぱいだった。

4回表、自分の前の打者、8番橋本玲音投手(2年)がスクイズを決めて2-1と勝ち越しに成功。「橋本が頑張っていたので打ちたかった」。マウンドには代わったばかりの新潟の2番手、背番号「1」の沼屋征海投手(2年)。初対戦だが対策はしてあった。17日、佐渡市からフェリーで新潟入り後、宿舎で新潟戦のDVDを見た。沼屋に対して「直球を狙う」。外角の直球を難なく右翼へ運んだ。

163センチ、59キロの小兵。「もともとパンチ力がある子。相手が前進守備だったので打たせるだけだった」と前山隼人監督(33)は期待していた。今夏の大会は背番号「14」でベンチ入りしたが出番はなかった。新チームになり「4」を着けた。伊藤は意気に感じたが油断はなかった。「1年生に力のある選手が多い」。昨年の全国離島交流中学生野球大会で優勝した佐渡選抜のメンバーが9人いる。「抜かれたくない」と競争心をあらわにする。

目標の打者は小柄だが長打を備えるソフトバンク今宮健太。今宮をイメージし、下半身の動きで長打を生むように意識した。その成果がすぐに表れた。「次も打ちたい」。伊藤は笑顔の奥に自信を潜ませた。【斎藤慎一郎】