第92回選抜高校野球大会に出場する鶴岡東(山形)が21日、千葉・市原市内で3次合宿をスタートさせた。18人の登録メンバー争いも佳境となる中、180センチ、80キロの大型右腕、太田陽都(はると、2年)が強烈な存在感を放っている。

入学以来、外野手だったが昨秋から投手を兼任。背番号10で臨んだ東北大会初戦の福島成蹊(福島)戦では、公式戦初先発で6回コールド完封勝利。事実上、選抜出場がかかる準決勝の仙台城南(宮城)戦でも6回コールド完封と、重圧をはねのけた。打撃も練習試合を含めた34試合では3割7分も、公式戦8試合では14打数10安打、打率7割越え。佐藤俊監督(48)も「物おじしない。兄と同じで宇宙人みたい」と評する強心臓が魅力だ。

OBの兄海都さん(富士大3年)は15、16年と2年連続で夏の甲子園に出場。16年は背番号1で臨むも、右ひじを痛め聖地のマウンドには立てなかった。アルプス席から応援した太田は兄から「俺の分まで頑張れ」とメッセージを受け、「自分もあの舞台に立ちたいと思った」と後を追った。

山形・庄内町立立川中時代は9人の野球部で投手だった。全国から猛者が集まる同校でも頭角を現し甲子園切符をつかんだ。最速は138キロで、練習中のフォークをマスターすれば大きな武器となる。「思い切り腕を振るのが自分の持ち味。チームが勝つために自分の役割を果たしたい」。兄の無念を晴らす時がやってきた。【野上伸悟】